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墜落・転落事故を防ぐために多くの規制があります。
例えば、事業者は、高さ2メートル以上の箇所で作業を行う場合には、
墜落防止のため足場等による作業床を設けることが義務付けられています(労働安全衛生規則518条1項)。
仮に作業床を設けることが困難な場合には、防網を張り、
労働者に安全帯などを使用させる等の措置を講じなければならないとされています(労働安全衛生規則518条2項)。
また、事業者は、高さが2メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落のおそれがある場合には、
囲い、手すり、覆い等を設けなければならないとされています(労働安全衛生規則519条1項)。
この囲いを設置することが難しい場合には、防網を張るなどして労働者が墜落しないような措置を講じないといけないとされています。
これらは規制の一部であり、様々な規制があります。
このような様々な規制を遵守していれば労災事故は防ぐことができます。
ですが、それでも労災事故が起きてしまうということについては、いくつかの原因が考えられます。
当事務所が解決した、「墜落・転落」に関する事例も併せてお読みください。
(クリックすると詳細がご覧いただけます。)
一つは、多重請負構造によって元請の指示がうまく現場の作業者に伝わらない、
あるいは労働安全衛生教育がうまくできない場面があるということです。
作業における危険性や安全衛生の手順や労働安全衛生規則の内容を元請が建設作業に従事する者に対して、
適切に指示説明することが必要になりますが、建設業において多重の請負構造がある場面は多く、
元請の指示が適切に現場の作業員に伝わらない場面があるという問題があります。
もう一つは、納期に間に合わせるために法令遵守が守られない危険性があるということです。
例えば、高さ2メートル以上の高所作業では悪天候では実施できません(労働安全衛生規則522条)。
高さ2メートル以上の高所作業では安全作業のための照度の維持が必要になっています(労働安全衛生規則523条)。
足場を設置するに際しても、足場の組立て等作業主任者を選任し(労働安全衛生規則565条)、
作業の開始前に点検をする必要があります(労働安全衛生規則567条)。仕事の完成を急いでいる場面ではこのような労働安全衛生規則の内容が煩わしく感じられることもあるかもしれません。
では、墜落・転落事故を防ぐにはどのようにすればよいでしょうか。
元請においては、労働安全衛生規則の内容を理解し、
労働安全衛生教育を下請けや孫請けなどに丸投げしないようにすることが必要になります。
現場を頻繁に巡回するなどして危険な箇所は速やかに是正するような対応が必要になってきます。
下請けや孫請けにおいては、従業員あるいは一人親方の場合には自らの命を守るために労働安全衛生規則の内容を理解し、
危険な箇所や是正が必要なことを発見した場合には速やかに元請等と協議して労災事故が発生しないように工夫をしていくことが必要になってきます。
現場の作業員においても危険な箇所や作業の危険を感じたら、
上司や元請などに連絡して作業の前に是正をしてもらえるように要望を出していく必要があります。
注文主においても、労災事故ゼロで仕事を完成するためには、労働安全衛生規則に基づく要請から余裕のある納期が必要であることを理解して、余裕を持った納期で発注をする必要があります。
このように、墜落・転落事故を防ぐためには、注文主から現場の作業員に至るまで建設業に関わる全ての人が建設業に関係する労働安全衛生規則を知っておく必要があります。
建設業における墜落・転落事故についてお困りのことや相談に乗って欲しいことがあれば、お気軽にお問い合わせください。
この記事の最終更新日 2024年3月4日 執筆者: 弁護士 大橋昭夫
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