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労災事故の発生状況と安全配慮義務

2018年11月12日


2017年の死傷労働災害(死亡事故,休業4日以上の傷害事故)は,全国で12万0460件であり,その内,静岡県内では4157件発生しています。

 

労働災害の発生件数は横ばいであり,2018年も同じ位の件数が発生しそうですが,静岡県が労災大県であることは間違いのない事実です。

 

この労災事故の内,「墜落」「転落」「挟まれ」事故等の重大事故が,かなりの件数発生しています。

 

このような災害型の労災事故以外に,社会福祉施設等の介護現場における,「転倒」,「動作の反動」,「無理な動作」による腰痛等の労働災害も数多く発生しています。
このような労災事故は,正規労働者ばかりでなく,派遣労働者,外国人労働者の間でも徐々に増加しています。

 

改めて,使用者の労働者に対するより一層の安全確保のための措置,安全教育が強く求められるところです。
ここで,使用者の,労働者に対して課せられている安全配慮義務を確認したいと思います。

 

1 使用者に課せられる安全配慮義務は,業務遂行のために設置すべき場所,施設もしくは器具等の設置管理又は労働者が使用者もしくは上司の指示のもとに遂行する業務の管理にあたって,労働者の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務として,判例上確立されています

 

(自衛隊車両整備工場事件・最三小判昭50.2.25民集29巻2号143頁,川義事件・最三小判昭59.4.10民集38巻6号557頁)


 

そして,この最高裁判決が示した判例法理は,「使用者は労働契約に伴い,労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう,必要な配慮をする。」(労働契約法5条)義務として法文化されています。

 

最三小50.2.25判決は,自衛官が車両整備工場において,車両整備中に他の自衛官運転の大型自動車の後輪で頭部を轢かれて死亡した事案で,「国は,公務員に対し,国が公務遂行のために設置すべき場所,施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が,国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって,公務員の生命及び健康等を危機から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っているものと解すべきである。

 

もとより,この安全配慮義務の具体的内容は,公務員の職種,地位,及び安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によって異なるべきものである」と判示しました。

 

又,最三小判昭59.4.10判決は,毛皮卸売業を営む会社の従業員が,宿直中に窃盗目的で侵入した元従業員に殺害された事案で,「雇用契約は労働者の労務提供と使用者の報酬支払をその基本内容とする双務有償契約であるが,通常の場合,労働者は,使用者の指定した場所に配置され,使用者の供給する設備,器具等を用いて労務の提供を行うものであるから,使用者は,この報酬支払義務にとどまらず,労働者が労務提供のため設置する場所,設備もしくは器具等を使用し,又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において,労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っているものと解するのが相当である。

 

もとより,使用者のこの安全配慮義務の具体的内容は,「労働者の職種,労務内容,労務提供等安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によって異なるべきものであることはいうまでもない」と判示した上,「宿直勤務の場所である本件社屋内に,宿直勤務中に盗賊等が容易に進入できないような物的設備を施し,かつ,万一盗賊が進入した場合は盗賊から加えられるかもしれない危害を免れることができるような物的施設をもうけるとともに,これらの物的施設を十分に整備することが困難であるときは,宿直員を増員するとか,宿直員に対する安全教育を十分に行うなどし,もってこの物的施設等と相まって労働者の生命,身体等に危険が及ばないように配慮する義務があった。」と判示しました。

 

これらの判例により形成されてきた安全配慮義務の内容については様々な見解がありますが,災害型の労災事故では,およそ次のように類型化されています。

 

(1)物的環境を整備する義務
(安全施設の整備・点検義務,道具・機器等の安全装置義務,労働者に保安上の整備をさせる義務)

(2)人的配備を適切に行う義務(安全監視員の配置義務,適任者に機器を使用させる義務)
(3)安全教育・適切な業務指示の義務(安全教育等の義務,適切な業務指示の義務,事故の予防・予後措置義務)
(4)履行補助者によって適切な整備・運転・操縦等をさせる義務
(5)安全衛生法令を順守する義務等

 

このように,最高裁判所は,使用者に対し,厳格な安全配慮義務の履行を求め,これに違反した場合には,損害賠償が命じられるとして,労災事故の減少を企図しています。

 

使用者は,各職場において現時点で取り得る最大限の安全配慮義務を尽くして,労災事故を防止する必要があります。

 

使用者は,今以上に,墜落・転落防止対策,機械設備等における労災防止対策,安全衛生教育を実施すると共に,職場環境,労働条件の改善もしなければなりません。

 

労働者の人権が守られ,労働者が安心して働ける会社にこそ,社会的存在価値があります。

 

私(所長)は,この数年間に,数多くのアメリカ企業を視察しましたが,いわゆるグレートカンパニーを目指す会社こそ,労働者を大切にしている傾向があります。

 

古今東西,富の起源は「労働」にあります。
その意味で,会社内から労働災害をなくすことが何よりも大切です。

鷹匠法律事務所

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