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プレス事故で右手に障害を負い,2300万円余の支払いを命じた判決(2020年6月10日,静岡地裁掛川支部判決)

依頼者A(47才の女性会社員・主婦)は,プレス工であったところ,B製作所の工場内で,昭和57年3月製造のプレス機械を利用して,自動車部品のプレスをしていた。

 そして,プレスした製品を,プレス機械の中から右手で取り出そうとしていた際,安全装置が働かず,金型が上下に連続して作動し,Aは右手を挟まれ,右示指,環指,小指を不全切断(粉砕骨折)し,右中指切断の傷害を負ったものである。

Aは,C病院に26日間入院し,その後,1年程通院し,症状固定となった。

 Aの障害(後遺障害)等級は,右手母指以外の3指の用廃(9級の9),右中指の亡失(11級の6),右小指の指骨の一部欠損(14級の6),局部に神経症状を残すもの(14級の9)であり,併合して準用8級と認定された。

 AはBに対し,示談の申入れをしたが,Bは,労災保険金がAに支払われたことを理由に,損害賠償金の支払いに応ぜず,AはBを被告として,静岡地方裁判所掛川支部に,2983万円を求めて損害賠償請求の訴を提起した。

 Bは,Aに対する安全配慮義務違反はなく,プレス機械の安全装置が働かなかったのは,プレス機械の欠陥であり,Bに責任はないと主張した。

 裁判所は,Bにおいて,プレス機械のクラッチ,ブレーキ,その他制御のために必要な部分の機能を常に有効な状態に保持する義務があり,二度落ち等の危険が存在するプレス機を用いてAに作業を行わせていたことは,安全配慮義務を怠ったものであると判示した。

 勿論のことであるが,プレス機自体の設計の欠陥はないとし,Bの責任はないとの主張を認めなかった。

 その上で,Aの全損害を3326万円余とし,労災からの障害補償給付金を控除して,Aの過失を20パーセントとし,弁護士費用210万円を加算して,BがAに対し,総額2314万円余を支払えとの判決をした。

 労災発生日からの年5パーセントの割合による遅延損害金を加算すると,2700万円になるものである。

 BはAに対し,労災保険金以上の支払いをしようとしなかったが,泣き寝入りすることなく,当事務所に相談したことが,よい結果につながったものである。

 プレス機の事故は,安全装置がついているにもかかわらず,かなり発生しており,手指を切断する労働者も多い。その原因を究明することが大事なので,早い段階で労災に詳しい弁護士に相談する必要がある。


この記事の最終更新日 2023年2月3日 執筆者: 弁護士 大橋昭夫

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