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労災事故Q&A

Q1

 会社員であるAさんは通常の勤務時間が終了し、午後5時30分に会社を出ましたが、会社の先輩に誘われて近くの居酒屋に飲みに行くことになりました。翌日も早かったのですぐに帰りたかったのですが、付き合いで二次会にも参加させられてしまいました。
 先輩と別れ、最寄り駅から徒歩で帰っていましたが、急に左折してきた車に巻き込まれ事故に遭ってしまいました。このようケースで労働災害は認められるのでしょうか。
 

A1

 Aさんはいつもの退勤の経路を逸脱し、居酒屋に寄ることにより、自宅へ帰ることを中断しており、この場合、労災保険法は通勤とはならないとしています。
 「逸脱」とは、通勤の途中において就業又は通勤とは関係のない目的で合理的な経路をそれることをいい、「中断」とは通勤の経路上において通勤とは関係のないことをいいます。
 Aさんが労災保険の受給の申請をしても、労働基準監督署は労働災害と認めませんので、この場合、左折をしてきた車の運転者や保有者に損害賠償の請求をすることになります。
 Aさんにも過失がある場合、労災保険では過失相殺されませんが、交通事故では過失相殺がされます。
 
 

Q2

 運送会社Aに勤める従業員のBは、今年4月に当社に入社しました。当社は、従業員が5人しかいない会社であり、これまで労災保険の加入手続きをしていませんでした。
 Bが入社をして3ヶ月が経ったある日、自転車で通勤をしていたところ、自動車と衝突事故を起こしてしまい、Bは全治1ヶ月の怪我を負いました。当社は労災保険に加入をしていませんでしたが、労災保険の給付を受けることは可能でしょうか。
 

A2

 労働者を1人でも使用する事業主は、個人経営の農業、水産業で労働者数5人未満の場合、及び個人経営の林業で労働者を常時には使用しない場合を除き、強制適用事業として労災保険制度の適用を受け、加入の手続をとり、保険料を納付しなければなりません。
 保険料は、全額、事業主負担です。
 労災保険の適用事業の事業主につきましては、その事業が開始された日に、その事業について労災保険の保険関係が成立します。
 本件の場合、A社は、労災保険に加入していなかったということですが、A社が事業を開始した時点から強制適用事業所として国との間に労災保険関係が成立しており、Bは労災保険の受給申請手続をすることが可能です。
 もっともこの場合、A社は労災保険に加入しなかったことが重大な過失である場合、Bに支給された労災給付金の40%を、故意である場合には、100%のお金を国に納付しなければいけません。これが事実上の罰則となります。

 

Q3

 会社員のAさんは喫煙者であり、3時間に1回程度の頻度でタバコを吸いにいっています。その日もお昼休憩が終わった後にタバコを吸いに行くため、喫煙所に向かって歩いていたところ、転んでしまい、手首を骨折してしまいました。
 このような休憩後の怪我であっても、労働災害は認められるのでしょうか。
 

A3

 労働者は休憩時間を原則として自由に利用することができますが、事業場施設内で行動している限り、事業主の支配下にありますので、業務遂行性があります。
 しかし、その間の行為は私的行為ですので、休憩時間中の災害が、事業場施設、又は、その管理に起因することが原因で発生したことを立証されなければ、業務起因性はありません。
 但し、飲水、用便など生理的要求による行為や作業と関連する必要行為、合理的行為は業務に付随する行為だとされています。
 休憩中の喫煙は微妙な問題を含んでいますが、休憩中に喫煙しようとして、ガソリンの染みた作業衣に引火して火傷をした場合、労災認定がされていますので、転倒事故が事業場内で発生していることから、喫煙を生理的要求によるものに準じた行為とすれば、労災認定されることがあります。
 本件の場合、昼休みの後の時間に発生したということですから、事業主の管理下にあり、業務遂行性はあり、喫煙することが生理的要求だとすれば、業務起因性もあり、労災として認定されることになります。

 

Q4

 会社員のAさんは低血圧で朝が弱く、頻繁に遅刻を繰り返していました。その日も朝起きたら予定の時間を30分以上過ぎており、このままいくと客先とのアポイントに間に合わない状況でした。普段は電車で通勤をしていますが、間に合わないので、その日はタクシーに乗って直接客先に向かいました。
 客先に向かう途中、乗車中のタクシーが衝突事故を起こしてしまい、Aさんも頚椎捻挫の怪我を負いました。このようなケースで、労働災害は認められるのでしょうか。
 

A4

 通勤で労災が認定されるのは合理的な経路と方法で会社へ出勤した場合に限定されています。
 Aさんは、いつもは電車で通勤しているのですから、合理的な経路と方法は、電車を利用して、いつもの道を通行することにより会社へ行くことです。
 Aさんが会社に寄らず、客先へ直行することを会社から命ぜられていた特別な場合には、労災の認定があるかもしれませんが、本件の場合、Aさんは遅刻をして自らの都合で客先へタクシーを利用して向かったということですから、合理的な経路と方法とはいえず、労災認定はされないでしょう。
 Aさんはタクシー会社と加害者に対して損害賠償をしなければならないと思います。

 

Q5

 会社員のAさんは、月に5日程度出張をしていますが、その日は仕事を終わってから得意先の社長に誘われて食事に行くことになりました。食事は業務と直接的に関係がないものでありましたが、親睦を深める意味で参加をしました。帰りのタクシーに乗っていたところ、後続車に追突され、全治2ヶ月の怪我を負いました。このような場合に労働災害は認められるのでしょうか。
 

A5

 出張中につきましては、その用務の成否や遂行方法などについて、包括的に事業主が責任を負っているので、出張過程の全般について、事業主の支配下にあり、単純な私用行為とみなされない場合は業務遂行性が認められます。
 Aさんは得意先の社長に誘われて食事に行ったということですから、Aさんの単純な私用行為だとはいえず、業務遂行性は認められます。
 そして、帰途に交通事故にあったということですから、業務起因性も認められます。
 従がいまして、労働災害と認定されることになります。

 

Q6

 自動車部品製造会社の作業現場に勤務するAは仕事の段取りのことで同僚のBと言い争いになり、Bがあまりにもなげやりな態度を取ったため殴って怪我をさせてしまいました。
 Bは自己が傷害を負ったことについて労災保険の受給申請をすることができるでしょうか。
 

A6

 労働者は、人間同士で組織となって業務を行っていますので、その中で仕事のことに関して一方的に暴力を受けたりした場合、災害としてのBの負傷の原因が業務にあって、業務と負傷との間に因果関係があれば、その負傷は業務起因性が認められて業務災害となります。
 本件の場合、AのBに対する暴行の原因が仕事の段取りの件であったなら労災が認定されるものと思います。
 業務に起因しての暴行に見えても、AとBとの普段の私的関係による単なる喧嘩とみられる場合は、業務起因性が否定され労災と認定されないこともあります。
 本件の場合、会社が職場環境を改善しないことによって、AのBに対する暴行が発生したとするなら、Bは会社に対しても民法715条1項の使用者責任を問い、損害賠償請求することも可能です。

 

Q7

 A会社の経営しているガソリンスタンドで給油作業に従事しているBは、元売り石油会社C主催のソフトボール大会に参加しましたが、怪我をしました。
 この場合、Bの負傷は労災と認定されますか。
 なお、AはBに対して大会参加時間に対応する賃金を支払っていました。
 

A7

 AはC主催のソフトボール大会について、Bに参加するよう要請しており、事実上の指揮命令があります。
 さらに賃金も支払われており、業務上の災害として認められると思います。
 スポーツ大会や慰安旅行など、会社行事に参加している最中の災害について、労働基準監督署は、主催者、目的、内容、参加方法、運営方法、費用分担等を総合的に考慮して労災と認定するか否かを判断しています。
 一般的には、業務命令があったり、事実上の参加強制がないと業務遂行性は認められず、労災と認定されない傾向にあります。

 

Q8

 私の子供AはB会社に勤務していましたが、残業時間が多く、帰宅時間も深夜になることが多く、体調も悪くうつ状態になり、自殺(自死)してしまいました。
 会社に責任を問うことは可能でしょうか。
 

A8

 仕事によるストレスが原因で精神障害を発症したり、自殺(自死)をする労働者が増加しています。
 労働基準監督署は、精神障害によって、正常な認識、行為選択能力が著しく阻害されたり、自殺(自死)を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態と認められる場合には、いわゆる過労自殺(自死)として業務起因性を認め、労災認定をしています。
 この過労自殺(自死)が長時間労働を放置し、労働者の職場環境の改善をしないことにより発生したことが立証されれば、あなたは、Bに対し安全配慮義務違反や、不法行為を主張して損害賠償請求することが可能です。

 

Q9

 会社の労災隠しに対する罰則はあるのですか。
 

A9

 事業者は、労働者が労災により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく労働者死傷病報告書を労働基準監督署長に提出しなければならないことになっています。
 これに違反して報告をしなかったり、虚偽の報告をすると、50万円以上の罰金に処せられることになります。
 労災隠しの背景には、事業者の無事故記録のノルマがあって、現場管理者が責任を問われるのを恐れたり、労災事故で官公庁の工事の入札に参加できなくなる等の事情があります。
 又、労災件数が少ないと労災保険料が安くなるなどのメリット制の影響もあると思います。
 労災隠しは犯罪ですので、被災労働者は事業者に屈することなく、労働基準監督署に労災保険受給の申請をすべきです。
 この際、事業主の証明などはいりませんから、自分だけの行為で申請が出来ることを覚えておくとよいでしょう。

 

Q10

 私は業務中にAの運転する車両にぶつけられ負傷し、後遺障害が残存しました。
 後遺障害の等級認定にあたって、自賠責保険で認定を受けるべきか、労災保険で認定を受けるべきか迷っています。
 どうしたらよいでしょうか。
 

A10

 自賠責の後遺障害等級は労災の等級をまねて作られていますので、後遺障害の内容は同じです。
 労災での認定の場合は、労働基準監督署の顧問医が、被災労働者と直接面談し、後遺障害の有無とその程度を認定していますので、比較的、公正な判断がされることになります。
 これに対し、自賠責での認定の場合は、自賠責損害調査事務所が、被災労働者と直接面談することなく、診断書等の書類審査のみで後遺障害の認定をしますので、被災労働者の症状に合致した判断がなされることは少ないといっても過言ではありません。
 しかも、自賠責損害調査事務所が損害保険会社の利益に沿った調査をしているのではないかとの疑いもあります。
 業務上や出退勤時における交通事故の労災の場合は、自賠責ではなく労災に対し、障害補償給付(後遺障害)の申請手続をすることがベターです。

 

Q11

 私はA会社に勤務しており、A会社はB会社の下請をしています。
私は、元請会社のB会社の職場内で、B会社の社員の指揮、監督を受け、B会社の機械を使って部品製造の仕事をしていますが、労災事故にあってしまいました。
 私は誰に対して損害賠償請求したらよいでしょうか。
 

A11

 労働者と直接雇用関係にある会社や個人事業主は、安全配慮義務違反が認められる場合、損害賠償の支払義務を負います。
 直接雇用関係にある会社や個人事業主ばかりでなく、元請企業がある場合、元請企業が損害賠償責任を負うこともあります。
 最高裁判所は、「下請企業の労働者が元請企業の作業場で労務の提供をするにあたり、元請企業の管理する設備、工具等を用い、事実上、元請企業の指揮、監督を受けて稼働し、その作業内容も元請企業の従業員とほとんど同じであった場合には、元請企業は、信義則上、その労働者に対し安全配慮義務を負う。」と判示しています。
 従がいまして、あなたが下請会社Aに雇用される労働者であり、A会社に対しては勿論のこと、元請会社Bに対し損害賠償請求することも可能です。
 A会社に資力がない場合には、B会社から損害賠償を得て被害回復することができます。

 

Q12

 私はA社から派遣されて、派遣先のB社で働いています。
 ある時、プレス機械の不備で、指を切断してしまいました。
 労災認定はされましたが、指を失ったことによる損害賠償請求をしたいと思います。
 誰にしたらよいでしょうか。
 

A12

 派遣労働者は、労働者派遣法により禁止された違法派遣であると否とを問わず、派遣会社に雇用された上で派遣先会社に派遣され、直接の雇用関係のない派遣先会社の指揮監督命令下で業務に従事することになります。
 派遣先会社はあまり派遣労働者の安全に配慮しない傾向にあり、派遣労働者が派遣先で労災事故にあうこともあります。
 あなたは、B社との間では直接の雇用関係はありませんが、派遣先のB社の指揮監督下で仕事をし、プレス機械の不備で指を切断したのですから、B社に対して、安全配慮義務違反を理由として損害賠償請求することが可能です。
 又、A社の責任ですが、あなたが、B社で就業することについて、労働者派遣法31条は、A社に対し適切な配慮を求めていますので、場合によったらA社もあなたに対し安全配慮義務を負う場合もあります。
 この場合、あなたはB社ばかりでなく、A社に対しても損害賠償請求することが可能です。

 

Q13

 私は労災事故にあい、1年半が経過しました。労災を申請するについて、会社が渋っていますので、まだ給付申請をしていません。
 給付申請をしていないと労災保険金が受給できなくなると聞いていますが、どうなっているのでしょうか。
 

A13

 療養補償、休業補償、葬祭料は、労災事故が発生してから2年以上経過しますと時効が完成し、それ以前の分は請求できなくなります。
 障害補償給付(後遺障害)と遺族補償は5年以内に請求しないと時効が完成し、請求できなくなります。

 

Q14

 私の夫は会社で激務をこなしていましたが、先日、心筋梗塞で死亡しました。
 私の夫は仕事の内容を私に話したことはありませんので、夫が、どの位残業をしていたか否かについても私は何も知っていません。
 私は夫の死後、何事にも手がつかず、気持ちの整理がついていません。
 このような場合、どのようにしたらよいのでしょうか。
 

A14

 私たちの法律事務所にまずご相談下さい。
 あなたの夫は、いわゆる過労死であったのかも知れません。
 私たちの法律事務所では現に静岡地方裁判所に過労死の事件も提起しており、過労死の成立要件はよく知っています。
 又、私たちの法律事務所は、「静岡働く者の安全と健康を守るセンター」(略称 静岡安健センター)とも協力関係にあり、過労死に詳しい医師の援助を求めることも可能です。
 あなたの希望があれば、医師等にご紹介することもできます。
 過労死が成立するかはともかくとして、あなたが、私たち弁護士に胸の内を話して下されば、あなたの気持ちがすっきりすることもありますので、まずは、法律相談のつもりではなく、身上相談のようなつもりでご来所下さい。
 当事務所は、あなたの気持ちが少しでも晴れ、前向きな生活を送ることに寄与したいと思います。

 

Q15

 私はA会社で働いている労働者ですが、会社(事業主)は、私を労働者として考えておらず、請負の自営業者と述べています。
 最近、私は、A会社内で仕事中に怪我をしてしまいました。
 労災保険の受給申請はできるのでしょうか。
 

A15

 あなたが労働基準法上の労働者であると認められれば、会社が労災保険に加入していなくても、最寄りの労働基準監督署に労災申請することができます。
 労働基準法上の労働者とは、事業主に対する使用従属関係のもとに労務を提供し、その代価として事業主から報酬の支払いを受けている者をいうとされ、法律上の形式が請負や委任であっても、あなたがA会社の指揮監督下で労働してきたのであれば、労災保険の適用があります。
 あなたは労災保険の受給申請ができるのではないかと思います。

 

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